1. 眼の断面図

眼は前眼部と後眼部と分れていています。

前眼部は簡易に診察し疾病の診断ができます。

人間の眼は24 mmほどの小さな器官ですが、とても複雑なつくりをしています。 大きい目、小さ目、つり目、たれ目と外見はさまざまですが、 特殊な場合をのぞいて、成人の目はどれも同じつくりとはたらきをもっています。 以下は眼の“前眼部”と呼ばれる部分について紹介します。

上眼瞼下眼瞼(じょうがんけん・かがんけん)

眼瞼(まぶた)は眼球を外傷から守り,日の乾燥や寒さから守る働きをしています。

睫毛(まつげ)

睫毛(まつげ)は,ほこりが角膜や結膜にあたるのを防ぎます。

結膜けつまく

眼球を自由に動かすには、眼窩組織と眼球本体が少し余裕をもって接している必要があります。その一方、隙間があいていては、ゴミなどの異物が眼球の裏側に入り込んでしまいます。それを防ぐ役目を担っているのが、眼球の表面と眼瞼の裏側を結んでいる結膜です。眼球側の結膜を球結膜きゅうけつまく、眼瞼側の結膜を瞼結膜けんけつまくといいます。

強膜きょうまく

眼球の一番外側は線維質の丈夫な膜で覆われています。これは強膜という、眼球を保護するための、いわ外壁のようなものです。血管が少なく、色は白で、いわゆる白目にあたります。強膜は、外膜全体の6分の5にあたり、角膜以外の眼球の後方を覆っています。

お、強膜は眼球の前方で、まぶたの裏側とつながっていますが、そのつなげる役割を果たしているのは結膜けつまくです(結膜は専門的には外膜でなく、眼球周囲の付属器(付属器の項参照)にあたります)。

角膜かくまく

外膜の残りの6分の1は角膜です。角膜は血管のない透明の膜で、厚さは中央部で約.5ミリメートルです。透明なため、目を正面から覗くと、角膜の下の組織が透けて見えます。つまり、黒目や茶目にあたる部分が、角膜に覆われている部分ということです(虹彩こうさい部分虹彩の項参照)茶目、虹彩の中心の瞳孔部分が黒目に該当します)。

虹彩こうさい

毛様体の手前にある、ドーナツのように輪になっている組織です。虹彩の中心が瞳孔で、虹彩は瞳孔を拡げたり縮めたりして、通過する光の量を調節しています。

瞳孔

虹彩の中央部を瞳孔といいます。 ここが、黒目の部分です。 ここを通って光が目のなかに入っていきます。虹彩と瞳孔のはたらきはカメラの絞りと同じように目のなかに入る光量を調節しています。

後眼部は複雑な作りで専門的な医療機器がなければ診察はできません。

房水

目のなか、房水(ぼうすい)と呼ばれる液で満たされています。 房水は水晶体、角膜な血管のない組織に栄養を与えるなどの代謝作用と、眼球内の圧力[眼圧]の調整をしています。房水は隅角という部分から目の外へ排出されていきます。

水晶体

水晶体は、カメラのレンズにあたり、厚くなったり薄くなったりすることで、ピント調節をしています。また、目を紫外線から守る働きもあります。

網膜

網膜は10層あり主に3つの機能で構成されています。まず光を感じる「視細胞」には600万個ある視力や色に関係する錐体視細胞(すいたいしさいぼう)と、1億2千万個ある光の明るさを感じる杆体視細胞(かんたいしさいぼう)があります。2つ目に視細胞の働きを集約した支持したりする細胞が集まっている「感覚網膜」、そして3つ目に網膜の一番外側にあり、脈絡膜から視細胞へよい栄養素を送り込む役割をする「網膜色素上皮細胞」の、3つの役割で物が見える働きを担っています。

網膜の中央にある黄斑部とその更に中心に中心窩(ちゅうしんか)があります。この部位では、光が直接視細胞に入るような構造になっているために少し凹んでいます。

 

人間の目は、カメラと似た構造仕組みをしているといわれています。
2. 眼の働き
 

眼でものを見る仕組みは、カメラにたとえることでわかりやすく理解できます。カメラの構造を単純にいうと、シャッターボタンを押した瞬間に光がレンズを通り、それがフィルムや撮像素子に像として焼き付けられる、ということになります。

眼も同様で、瞳から入った光が角膜かくまくと、水晶体すいしょうたい(カメラのレンズに該当します)を通ったときに屈折して、網膜もうまく(フィルムや撮像素子に該当)像を結びます。今この文字を読んでいるあなたの眼も、やはり同じように、光を網膜で感じとって認識しているのです。

実際の写真撮影では、シャッターボタンを押すまでに、ピントを合わせたり、絞りやフィルム感度の設定を行いますが、眼にも同じような役割を果たす部分があります。も少し詳しく、眼の仕組みを見てみましょう。

眼に入った光が一番最初に通過するのは、角膜かくまくという透明な膜です。カメラにたとえるなら、レンズの前のフィルターのようなものです。前方に向かってスムーズに湾曲しているので、レンズの役目もしています。角膜の手前で眼を守っているまぶた(眼瞼がんけん)は、レンズキャップといえるでしょう。

角膜の奥には虹彩こうさいという組織があります。これはカメラの絞りに該当し、眼の奥に入る光の量を調節しています。虹彩の中央部に瞳孔どうこうがあって、瞳孔は明るい所では小さくなり、暗い所では大きくなります。

瞳孔を通過した光は、水晶体で屈折します。水晶体は厚さ5ミリメートルの透明の組織で、毛様体もうようたいから出る細い(チン小しょう帯たい)によって固定されています。毛様体の筋肉の伸び縮みによって、水晶体の厚みが調節され、ピントが合わせられます。遠い物を見るときは水晶体が薄くなり、近い物を見るときは厚くなって、常に網膜の位置でピントが合うのです。

水晶体の後ろは硝子体しょうしたいという、眼球の大部分を占める透明な組織です。眼のかたちを内側から支える役割を果たしています。カメラでは、レンズとフィルムの間の空間にあたります。水晶体で屈折した光が網膜で像を結ぶためには、一定の距離が必要ですが、それはこの硝子体によって作り出されています。

そして網膜はフィルム撮像素子にあたり、光の明るさや色合いを感じとる視細胞しさいぼうが密集しています。ここに到達した光の情報は、視神経を通り、脳の中の視覚野しかくやという、フィルムの現像プリント工場にあたる部分に送られて、ようや映像となります。

上記のすべての動きは非常に正確で複雑な神経のネットワークによって全自動で行われます。この点に関しては最新のカメラでも叶えません。

01/06
1. 目の仕組み
02/06
2. 屈折異常
03/06
3. 白内障
04/06
4. 緑内障
05/06
5. 網膜疾患
06/06
6. 目の病気