屈折異常

1. 屈折異常とは
眼の構造はカメラに似ています。外界から眼球に入ってきた光はレンズの役割をする水晶体をとおり、フィルムにあたる網膜に到達し、さらに視神経を通じて脳に視覚情報が伝えられ、視覚として認識します。
水晶体を通った光は屈折し、網膜の上でピントが合うのが理想的な屈折状態ですが、なんらかの理由で手前や奥にピントが合うようになって像がぼやけたり、二重三重に像が結ばれてしまうことを屈折異常と呼びます。
網膜より手前で像が結ばれる近視、網膜より後ろで像が結ばれる遠視、その他に乱視があります。
屈折異常の原因
屈折異常の原因は、遺伝性により成長とともに眼軸が伸びてしまう軸性異常や、先天性で眼底に萎縮などの異常がみられる場合や、硝子帯融解、網膜はく離などの病気の場合があります。また現代人に多いのは、ゲームやパソコンなど近くを長時間みる習慣により起こるものです。近くを見るときに筋肉により膨らんだ水晶体が、うまく元通りに戻らず、膨らんだ状態のままになることで遠くが見えにくくなるものです。

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屈折異常で視力が低くく生活やQOLに影響を及ぼします。
2. 屈折異常の分類

近視
近視とは 「近視」とは、簡単に云うと「手元の近距離はよく見えて、テレビやホワイトボード、ドライブ距離などの遠方が霞んで見えにくい目」となります。 度数が強くなる程、より近くにピントが合い、遠くのものは霞むことになります。
近視の原因
近視の原因は現在のところ、よくわかっていませんが、遺伝的な要素と環境が関係すると考えられています。
遺伝的な要因
親が近視の場合、子どもが近視になる可能性は比較的高く、遺伝的な要素が複雑に絡んでいると考えられます。
Hình ảnh trên mắt cận thị
環境的な要因
一般的な近視の場合、環境も影響すると考えられています。勉強、読書、パソコンなどディスプレイを見る作業を長く続けていると、目が疲れ、好ましくないのはいうまでもありません。しかし、こういったことが近視の原因になるかどうか、はっきりした証明はありません。
近視の進行予防
  • 「 正しい姿勢」と「適度な明るさ」で勉強や読書をしましょう 背筋をきちんと伸ばし、目と本は30cm以上離して読みましょう。
  • 適度に目を休めて運動もしましょう 長時間、毛様体筋を緊張させたままにすることはあまりよくありません。
  • 遠くを眺めるのも効果があります。
  • 規則正しい生活と栄養バランスの良い食事。
  • 20-20-20の原則を守る。20分おきに一度20秒休憩を挟み遠く20フィット(大体6m)を眺める原則。
遠視
遠視とは、まったく調節しない時に網膜の後方でピントが合うため、遠くを見る時は少しの調節で見え、近くを見る時は強く調節をしないとはっきり見えない目のことです。 遠くでも近くでも調節が必要になり疲れやすい目です。
遠視の原因は
遠視の原因は大きく分けて2つあります。
1つめの原因は生まれつきによるもので、近視のように悪化することはありません。
また、年齢が若いうちは調節力が強いので視力が低下することはなく、遠視であることに気付かないケースも多いようです。
2つめの原因は加齢によるもので、年を重ねてから症状が現れ、どんどん強くなっていきます。
ảnh trên mắt người viễn thị
Hình ảnh trên mắt viễn thị
遠視の症状
遠視では遠くの物が良く見えると思われがちですが、近くも遠くも良く見えません。正視や近視の場合は、近くの物を見るときにだけ水晶体を厚くしてピントを合わせますが、遠視の場合は近くを見るときも、遠くを見るときも調節が必要なため、目が疲れやすくなります。読書や細かい作業が苦手、集中力に欠けるなどの影響が出ることも少なくありません。
遠視の原因のほとんどは、眼の成長不足ともいわれており、成長するにつれて改善されることが多いのも特徴的です。 遠視は近視と違って予防が難しいです。
乱視
乱視とは
乱視とは、屈折力が屈折点により異なるために、焦点を結ばない状態のことを言い、正乱視と不正乱視とに分けられます(図 17)。
正乱視は角膜や水晶体のカーブが方向によって違うため(例:ラグビーボール)、屈折力が縦と横、あるいは斜めで異なり、焦点を一点に合わせることができません。主に角膜のひずみが原因ですが、近視や遠視と組み合わさって起こる場合がほとんどです。正乱視があると一方向の線のみが明確に見えますが、他の方向はぼやけて見えます(図 )。不正乱視は炎症やケガなどによって角膜表面に凹凸が生じたために正常に像が結ばれない状態を言います。
乱視によって引き起こされる主な症状
軽い乱視の場合は、症状はほとんどありませんが、強い乱視があると、ものが歪んだりにじんで見えたり、まぶしく感じたりライトが見にくいなど見え方に変化が出てきたり、肩こりや頭痛が生じることがあります。また、細かい文字や数字が見えず、ミスが増えたり仕事や勉強の効率が上がらなかったりすることもあります。
さらに子どもの場合、日常生活に支障があるような乱視を矯正せずにいると弱視になってしまうこともあります。
Hình ảnh trên mắt người loạn thị
Hình ảnh trên mắt loạn thị
乱視の種類と主な原因
乱視には、「正乱視」と「不正乱視」があります。「正乱視」は、もともとの角膜や水晶体の形状が、「不正乱視」は目のケガや病気が主な原因となって起こります。
乱視の予防
乱視は遺伝すると言われています。遺伝ではなく後天性のものもありますが、乱視は遺伝も大きく関係しているのです。乱視にならないためには、目にけが、炎症などが起きないように日常生活の癖を改めることが大切です。
3. 屈折異常の矯正方法
眼鏡
もっとも古くからある視力矯正の方法であり、眼鏡での視力矯正者数は全国で約1,000万人と推定されます。フレームメガネにするかコンタクレンズにするか使用目的別でメリットとデメリットがあります。しかし、どれにしてももっとも重要なことは正確な視力検査を受け、正しい度数の眼鏡をかけることです。
オルソケラトロジー
オルソケラトロジーは10歳位から65歳位までの幅広い年齢層の近視に効果的な治療法です。眠っている間に高酸素透過性ハードコンタクトレンズを装着することで、近視の角膜形状を正常な形に矯正し、近視を治療する角膜矯正療法です。
メリット
  • 就寝時に装用することにより、日中裸眼で生活できます。
  • 近視の進行の抑制効果があるといわれています。
  • 着用をしなければ、もとの状態に戻ます。
デメリット
  • 適応度数範囲が狭いので、強度近視、乱視には不向きです。
  • コンタクトレンズのケアが必要です。
  • レンズの耐久年数は2~3年であるため、長期的に考えると割高です。
  • レンズが直接目に触れる為、正しく取り扱わないと眼障害などにつながる可能性があります。

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屈折異常矯正手術
SBKレーシック
SBKとはSub Bowman’s Keratomileusisの略です。
角膜上皮を残し、均一の厚みで最も薄いフラップを作りつつ行うレーシック治療方法です。厚さが均一で薄いフラップを作成するメリットは、
  • 角膜の強度を保つことができます。
  • 光学的に理想的な角膜切除ができるので見え方の質が良い。
このSBKレーシックは安全な角膜の厚さがあり、近視-6.0D以下の方に向きます。
フェムトセカンドレーザーによるレーシック手術
フェムトセカンドレーザーによるレーシック手術はフェムトセカンドレーザーで角膜層をスライスし、開き蓋状のフラップを作成します。一時的にフラップをめくり、間質と呼ばれる角膜下層を露出させます。
エキシマレーザー(非常に精密で低温のレーザー)を照射して、角膜下層組織を削り、角膜の曲率を変えることで、屈折異常を矯正します。その後フラップを元の状態に戻します。縫合は行いません。
フェムトセカンドレーザーによるレーシック手術は安全な角膜の厚さがあり、近視-6.0D以下の方に向きます。
 
ReLEx SMILE2.0
フェムトセカンドレーザーを照射して角膜内部にシート状の切片(レンチクル)を作成し、角膜表面につけた小さな切れ目から、そのレンチクルを取り除くことで視力を回復させる、安全性と術後の視界のクリアさにおいてレーシックを超えた新しい屈折矯正方法です。この手術法は従来のレーシックと比べて侵襲性が低く予測性・安全性が高い。
ReLEx SMILE2.0(リレックススマイル2.0)は、ハードウェアの性能向上により、傷口が2mmで手術が可能になり、角膜の知覚神経が大部分温存されるため、術後のドライアイが更に軽減されます。
ReLEx SMILE2.0(リレックススマイル2.0)は、安全な角膜の厚さがあり、近視-8.0D以下の方に向きます。
 
フェイキックIOL (Phakic)

phakic icl surgery

Phakic は、小さなレンズを眼の中に移植(インプラント)して近視や乱視を矯正し、裸眼視力を回復させる新しい視力矯正手術です。レンズを虹彩の裏側の後房と呼ぶ位置に固定するので「有水晶体後房レンズ」、「フェイキックIL(Phakic)」(phakicは水晶体の英語名)、あるいは「有水晶体眼内レンズ」ともいいます。計算上、Phakic ICLは近視-18.00D、遠視+10.00Dと乱視-6.00D対応できます。近視-30.00 Dまで, 遠視+15.00 Dまで, 乱視-10.0Dまで 対応できます. IPCL 眼内コンタクトレンズ 近視-30.00 Dまで, 遠視+15.00 Dまで, 乱視-10.0Dまで 対応できます
 
Phakic は、角膜を削らないので術後の見え方に大きな不安を持つ方にとっては、「可逆性がある」、すなわち、「一回やってみて、嫌なら元の状態に戻せる」ということは大いなる安心感につながると思います。更に、レーシック手術が不可能だった強度近視の方や角膜の厚みが薄い方にも、手術が可能となります。